今治やきとりの

ルーツ

原点は大阪のくわ焼きか?

「今治やきとり」は、鉄板で鶏肉を焼くスタイル。昭和35(1960)年創業の「五味鳥」さんが、このスタイルの考案者です。「五味鳥」店主の中川さんは、旭屋出版『大人気の焼とり串揚げ』の取材で「注文した料理がすぐに出てこないと、お客に注意されます。そうした土地柄だから、焼とり店を始めようと考えた時、従来の方法で注文後に焼くスタイルでは、とてもお客は呼べない」と考え、大阪「ミナミのあるお店で、鉄板でレンコンを焼いているのを目にして『これだ!』とひらめいたのが、鉄板焼とりを考案したきっかけです」と語っています。おそらく、大阪のくわ焼きの影響を受けているようです。

「早い」「安い」「うまい」

待つことを嫌がるせっかちな今治人に、鉄板でつくる「やきとり」は、好評をもって受け入れられました。「早い」「安い」「うまい」が大好きな今治人は、鉄板やきとりに飛びついたので、瞬く間に類似のやきとり店ができ、一時は百軒以上も「今治やきとり」の店ができるほどの盛況ぶりだったといいます。

人気メニューは「皮」

「今治やきとり」を代表するメニューは、串を使わない「皮」です。今治人にとって「皮」はやきとり店の定番で、席に座るやいなや「皮」を注文します。直火の串とはまるで異なるスタイルの「皮」は、外側が香ばしくカリッとした食感で、肉汁が口のなかに広がります。タレや「皮」の内容は、店によってさまざま。甘いものから辛いものまでそれぞれの店独自のタレが楽しめます。締めには「せんざんき」と呼ばれる鶏の唐揚げが、必ずオーダーされるのも今治やきとり流です。